堀川すなお sunao horikawa

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STATEMENT

Horikawa's works ask: How can we understand existence, and how can we share our understanding with others?

She explores the cognitive discrepancies that emerge from interpersonal communication, which she expresses through the repeated conversion of image into text, and text into image. Her paintings reflect the processes of verbalizing, conveying and understanding what we see and know, and seem to be built upon the physical laws of a world beyond our normal perception.

 「人はモノの存在をどのように分かっているのか?」これまでの私の制作を通したモノの理解の探求は、私たちは一体何を分かっているのか?と問いかけています。

 2008年からの私の絵画の制作方法は、モチーフとしての物を観察し、白いキャンバスに青い線で〈物を理解した記録〉を描画する手法を採用しています。2008年当初は、物を様々な角度や距離から多角的に観察し絵を描いていました。しかし2014年からは、他者の物の見方に興味を持ち始め、他者と共に物を観察することを始めました。この取り組みでは、「私たちが物をどのように理解しているのか?」を探求するために、物を見る際の視点の動かし方や、得られた情報について参加者に言葉で記録してもらうこと、また、視覚と触覚での物の捉え方の違いなど、人がどのように物を見て絵を描いたのかの情報を基に、人それぞれの物の捉え方が異なる理由や、同じである理由を探求する絵画制作を行っています。

 モチーフについて、モチーフを決めるなかで私が重要にしていることは、名前を聞いてすぐにその物のイメージが浮かび、なおかつ他者と同じイメージが思い浮かびやすい物です。例えば、バナナは「バナナ」という言葉を聞くと、黄色くて湾曲した長細い形を想像しやすいですが、その共通のイメージは本当に共通しているのでしょうか?モチーフを選ぶときはそのような疑問を抱きやすいモノを選んでいます。

 線について、私は物がそこにあると分かるには、分かりたい物とそれ以外を理解する必要があると考えています。そのため、理解した物の形を線で追う記録方法を採用しています。2014 年からは、物を観察し記録する際に重要な要素となっているのは、言葉では無いかと考えるようになりました。つまり感覚器官を通して得た物の情報を一度言葉で整理をし、その物の情報を描いていると考えているからです。言葉をイメージに変換して記録する際にも線を基本に描写を試みています。例えば「面」という言葉から、面を塗りつぶして形を作るのではなく、線をどのように重ねることで面になるのか、もしくは線をどのように動かすことで面になるのかを考えています。同様に線を用いて「黄色」と「緑」の違いを探求するなど線を基準に物を分かることをしています。

 形について、私は形を描く際に例えば、円を描きたいと思いフリーハンドで○を描くと、手の癖のような意図しない雑が入ると考えています。そのため「円」という言葉と同様に、他者との共通のイメージに一番近くなるように、描きたいイメージをコンパスを使用して正確に記録しています。記録の際にコンパスと定規を用いて描くことで、図面のような見た目になっています。

 タイトルについて、タイトルには、モチーフの名前、観察方法、観察日時、誰の介入により気づきを得たかなどを記しています。物をどのように捉えようと試みたか、そしてその日時にどのような気づきを得たのかを記しています。モチーフや観察方法が同じでも、数日後、数年後に違った気づきを得ることを想定し、資料としての役割を果たすタイトルにしています。

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